■~前立腺肥大~~
こんにちは!高知市の島崎クリニックの院長島崎です。
「もしかして、私、前立腺肥大症かな?」と不安な気持ちでこのページにたどり着いたかもしれません。頻繁にトイレに行きたくなったり、夜中に何度も目が覚めたりする症状は、日々の生活の質を大きく下げてしまうため、ご自身だけでなく、ご家族も心配されていることでしょう。この記事では、そんな前立腺肥大症について、高知県高知市の泌尿器科医である私が、症状や原因、診断方法から最新の治療法まで、どこよりも分かりやすく解説していきます。この記事を最後まで読んでいただければ、前立腺肥大症の全体像が分かり、これからどうすればよいか具体的な行動に移せるようになるでしょう。夜間頻尿で困っているご家族はぜひ最後まで読んでみてください!
前立腺肥大症とはどのような病気?
前立腺肥大症は、男性の尿道のすぐ下にある前立腺という臓器が、年齢とともに肥大していく病気です。前立腺は通常、栗の実ほどの大きさですが、肥大すると尿道を圧迫し、尿の通り道を狭くしてしまいます。これにより、排尿に関するさまざまな症状が引き起こされます。
たとえば、私が以前診察した患者様で、50代の男性の方がいらっしゃいました。夜中に何度もトイレに起きるようになり、睡眠不足で仕事に集中できない、と悩んでいました。奥様も、「最近、お父さんがトイレに行く回数が増えて、心配している」とご相談に来られました。詳しく検査をしてみると、前立腺が正常なサイズの2倍近くにまで肥大しており、この肥大が頻尿の原因となっていることが分かりました。このように、前立腺肥大症はご本人だけでなく、ご家族の生活にも影響を及ぼす病気です。
前立腺肥大症の主な症状
前立腺肥大症の症状は、大きく分けて「蓄尿症状」と「排尿症状」の2つに分類されます。
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蓄尿症状
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頻尿: 昼間や夜間を問わず、トイレに行く回数が増えます。特に夜間頻尿は、睡眠を妨げ、生活の質を著しく低下させます。
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尿意切迫感: 急に強い尿意を感じ、トイレまで間に合わないのではないかという不安に駆られます。
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尿失禁: 尿意を感じた後、我慢できずに漏れてしまうことがあります。
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排尿症状
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排尿困難: 尿を出すのに時間がかかったり、お腹に力を入れないと出なくなったりします。
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尿線細小: 尿の勢いが弱くなり、チョロチョロとしか出なくなります。
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残尿感: 排尿後も膀胱に尿が残っているような感じがします。
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尿切れ不良: 尿の最後にポタポタと垂れてしまい、下着を汚してしまうことがあります。
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これらの症状は、風邪のように自然に治ることはなく、放置すると徐々に悪化していくことがほとんどです。早めに泌尿器科で適切な診断と治療を受けることが大切です。
前立腺肥大症の原因と発症しやすい人の特徴
前立腺肥大症の最大の原因は、加齢です。年齢を重ねることで男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが変化し、前立腺の組織が増殖することが分かっています。一般的に、50歳を過ぎたあたりから症状が現れやすくなり、年齢とともにその割合は増えていきます。
しかし、加齢以外にも前立腺肥大症のリスクを高める要因がいくつかあります。
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遺伝: 前立腺肥大症は遺伝的な要因も関係すると考えられています。ご家族に前立腺肥大症を患った方がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。
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生活習慣病: 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、前立腺肥大症の発症リスクを高めるといわれています。これらの病気は、血管や神経に悪影響を及ぼし、前立腺の働きにも影響を与えるためです。
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肥満: 肥満は、男性ホルモンのバランスを崩す原因となり、前立腺の肥大を促進すると考えられています。特に内臓脂肪の蓄積は、注意が必要です。
これらの要因は、必ずしも前立腺肥大症を発症するわけではありませんが、リスクを減らすためには日々の生活習慣を見直すことが重要です。高知市は、美味しいものがたくさんありますが、バランスの取れた食生活と適度な運動を心がけましょう。
前立腺肥大症の診断方法
前立腺肥大症の診断は、問診から始まり、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断します。
問診
まず、問診で排尿に関する症状について詳しくお聞きします。
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症状の具体的な内容: どのような症状があるか(頻尿、残尿感など)。
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症状が始まった時期: いつから症状が現れたか。
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症状の頻度と程度: 1日に何回トイレに行くか、夜中に何回起きるか。
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生活への影響: 症状によって、日常生活にどのような影響が出ているか。
これらの質問を通して、患者様の状況を把握します。
検査
問診後、以下のような検査を行います。
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国際前立腺症状スコア(IPSS): 8つの質問に答えていただき、症状の重症度を客観的に評価します。
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尿流量測定検査: 機械に向かって排尿し、尿の勢いや量、排尿にかかる時間を測定します。前立腺肥大症の患者様は、尿の勢いが弱くなるため、この検査で尿道の閉塞の程度が分かります。
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超音波検査(エコー検査): 腹部にプローブを当て、前立腺の大きさや形を観察します。また、排尿後に膀胱に残る尿の量(残尿量)も測定します。
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血液検査(PSA検査): 前立腺特異抗原(PSA)という物質の値を調べます。PSA値は前立腺がんでも上昇するため、前立腺肥大症と前立腺がんを区別するために重要な検査です。
これらの検査は、痛みや不快感が少なく、比較的短時間で終わりますのでご安心ください。
前立腺肥大症の治療方法と手術方法
前立腺肥大症の治療は、症状の程度や前立腺の大きさによって、薬物療法と手術療法の2つに大きく分けられます。
薬物療法
症状が軽度から中等度の場合、まず薬物療法から始めます。
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α1遮断薬: 前立腺や膀胱の筋肉を緩めて、尿の通りを良くするお薬です。服用後、比較的早く効果が現れるのが特徴です。
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5$\alpha$還元酵素阻害薬: 前立腺を小さくする効果があります。効果が現れるまでに数ヶ月かかりますが、長期的に前立腺のサイズを縮小させることで症状の改善が期待できます。
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PDE5阻害薬: 勃起不全の治療薬として有名ですが、前立腺肥大症の症状改善にも効果があるとされています。
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漢方薬: 頻尿や排尿困難の症状を和らげる目的で、他の治療薬と併用して使用されることもあります。
多くの患者様は薬物療法で症状が改善します。私も、まずは薬で様子を見てみましょう、と患者様にご提案することが多いです。
手術療法
薬物療法で効果が十分に得られない場合や、症状が重度の場合、手術を検討します。
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経尿道的前立腺切除術(TURP): 尿道から内視鏡を挿入し、肥大した前立腺組織を電気メスで少しずつ削り取る手術です。前立腺肥大症に対する最も一般的な手術方法であり、長年の実績があります。
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経尿道的前立腺核出術(HoLEP): ホルミウムレーザーという特殊なレーザーを用いて、肥大した前立腺組織をまるごとくり抜く手術です。出血が少なく、術後の回復が早いのが特徴です。
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前立腺ステント留置術: 金属の筒(ステント)を尿道に留置し、肥大した前立腺によって狭くなった尿道を広げる手術です。手術時間が短く、体への負担が少ないのがメリットです。
どの手術方法が適しているかは、前立腺の大きさや患者様の全身状態によって異なります。当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて、最適な治療方法をご提案します。高知市で前立腺肥大症の治療をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
前立腺肥大症は、男性なら誰にでも起こりうる、身近な病気です。頻尿や排尿困難などの症状は、年齢のせいだと諦めてしまいがちですが、適切な治療を受ければ、症状を改善し、快適な生活を取り戻すことができます。
前立腺肥大症に関する重要なポイントをまとめます。
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前立腺肥大症は、年齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫することで様々な排尿障害を引き起こす病気です。
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主な症状には、頻尿、尿意切迫感、排尿困難などがあります。
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診断は、問診や尿流量測定、超音波検査などで総合的に行います。
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治療は、薬物療法が基本で、症状が改善しない場合は手術療法を検討します。
「もしかして?」と感じたら、決して一人で悩まず、まずは高知市の泌尿器科クリニックにご相談ください。早期発見、早期治療が大切です。
本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、高知市の島崎クリニックにお気軽にご相談ください。